ウティナン君に罪はない│退去強制処分の取消し

スポンサードリンク

hikouki

タイ人のウティナン君(16歳)は、不法滞在の母親から日本で生まれて日本で育った子である。

「日本に住んでいたい」と、退去強制処分の取消しを求めた東京高裁での訴訟では、

12月6日に控訴審判決が出た。

小林昭彦裁判長は原告側の請求を棄却する判決、つまり強制退去を言い渡した。

ウティナン君は2000年、不法滞在のタイ人の母親のもと、甲府市で生まれた。小学校には通わなかったが、外国人支援団体から学習支援を受けて学力が向上。2013年から市立中学校に編入した。努力をつづけて、同級生と良好な関係を保てるようになったという。

その後、出生に関する書類や生活環境などが整ったことから、母親は2013年、東京入国管理局に在留特別許可を申請した。ところが、2014年に退去強制処分を受けたため、2015年に国を相手取り、処分の取消しを求めて東京地裁に提訴した。今年6月の一審判決は原告側の請求を棄却していた。
⇒弁護士ドットコムNEWS https://www.bengo4.com/gyosei/1127/n_5435/

このウティナン君とその母親の主張を支援しているのは

NGO「山梨外国人人権ネットワーク・オアシス」という団体。

不法滞在で生んでしまったけどもうここで育ってしまったから許してくれるでしょ?」というのは、

法律に基づく主張ではないことがひとつ。

裁判所は法律に基づいた判決を出すというのが根本的な仕事なので

この主張を認めてしまうと、法律を覆すことになる。

なので、「可哀想」という感想は

個人として思うのは自由だけれど、裁判で持ち出してもあまり認められる主張ではない。

それでも近年は、人権というキーワードが非常に支持されやすい。

人種然り、障がい然り、人権で主張されたら、反論するほうが悪ということになってしまう。

そう考えるとこの事件では

法律的な面と、人権的な面2つが重なることが

ことを難しくしている根本的な事柄である。

もしこの判決であっさりとこの親子の滞在を認めてしまうとどうなるか。

日本は国際的に見ても移住の条件が厳しく、難民でさえ許可されないことも多い。

それほど厳しい在住許可だけれど、それでも日本に住みたい外国人はたくさんいる。

中には、荒稼ぎをして本国へ送金したいという考えの人も大量に居る。

ここで「子供を育てて根付かせれば滞在許可が降りる」ことが普通になれば

それを悪用・・つまり、子供を利用して長期滞在を狙う人間が増加することが火を見るより明らか。

それこそ、子供の人権に関わる。

法を守ることは将来的にも人権を守ることでもあるのだ。

可哀想だから今回だけ、許してあげて?」は、その人だけが助かったとしても

今後、大量に不幸な子供を生み出す原因にもなる。

だから例外を作ってはいけないのがルールというもの。

そもそも、今回のこの件、法律的に悪いとすれば

母親を騙したタイ人ブローカー、そして

不法滞在を続けたまま子供を作り育てた母親。

子供の将来を考えずに生んだのに、今、子供の将来を考えてくれと他人にすがる。

良い環境で子供を育てたいのは皆同じ。

だけどみんなは法律に基づいて暮らしている。

日本はそういう法律のある国家なので、

それを守らなければ強制退去はあたりまえ。

不法滞在で子供を産めばこうなることは想像がついただろうに。

全く罪がないのに罪の上で生まれ育ったウティナン君。

幸い、昨今では子供の人権を考えて、

代わりの保護者がいれば子供だけは日本に滞在できる場合もあるらしい。

彼は不幸なのではなく、不幸にされたのです。

大人のエゴで。

ウティナンくんは何も悪くない。

でも、裁判所は法律を元に判決を下すしかない。それが法治国家だから。